こんにちは、JS2IIUです。
遅ればせながらMCPについて色々調べてみました。MCPの仕組みや活用事例、実装のポイントなどについて記事にまとめておきたいと思います。今回もよろしくお願いします。
はじめに
AIやLLM(大規模言語モデル)の活用が進む中、モデルのコンテキスト管理や連携の標準化が求められています。Model Context Protocol(MCP)は、こうした課題を解決する新しいプロトコルです。本記事では、MCPの技術的な仕組みや実装例、活用方法まで詳しく解説します。
MCPの概要
MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルやLLMと外部アプリケーション・サービス間で「コンテキスト」を安全かつ柔軟にやり取りするための通信プロトコルです。
MCPの定義・役割
MCPは、AIモデルの入出力だけでなく、ユーザーやアプリケーションの状態(コンテキスト)を標準化して管理・伝達する仕組みです。従来のAPIでは、モデルごとに異なるパラメータや状態管理が必要でしたが、MCPではコンテキスト情報(例:ユーザー名、編集中のドキュメント、選択範囲など)を統一的なデータ構造でやり取りできます。MCPは、複数クライアントとモデル間の通信を統一化し、“コンテキストベースの連携”を実現します。従来のようにAPIごとに異なる実装をする必要がなく、開発効率が大きく向上します。
┌────────────────────┐ ┌────────────────────┐
│ 従来の連携(個別API) │ │ MCPによる連携 │
├──────────────┤ ├──────────────┤
│ クライアントA │ │ クライアントA │
│ → モデルA(API A) │ │ ↘ │
│ クライアントB │ │ → MCPサーバー → モデルA│
│ → モデルB(API B) │ │ ↗ │
└────────────────────┘ └────────────────────┘従来のAI/LLM連携との違い
従来はAPIごとに独自仕様が多く、コンテキスト管理が煩雑でした。例えば、モデルAとモデルBで同じ「要約」機能を使う場合でも、リクエスト形式やパラメータが異なることが一般的です。MCPでは、モデル・クライアント・サーバー間のやり取りを共通仕様(JSONベースなど)で統一し、開発者はコンテキストの定義と管理に集中できます。
MCPが解決する課題
- モデルごとのAPI仕様の違いによる開発コスト増加
- セキュリティ・プライバシーの担保(コンテキスト情報の暗号化やアクセス制御)
- 拡張性・相互運用性(新しいモデルやサービス追加時もMCP仕様に従うだけで連携可能)
MCPの技術的仕組み
基本アーキテクチャ
MCPは「モデル」「クライアント」「サーバー」の3要素で構成されます。
- モデル:AI/LLM本体。MCP仕様に準拠した入出力を持つ
- クライアント:ユーザー操作やアプリ状態をMCPサーバーへ送信
- サーバー:コンテキスト管理・モデル連携・セキュリティ担保
クライアント(例:VS Code拡張)がユーザー操作や状態をMCPサーバーへ送信し、サーバーがコンテキストを管理してモデルへ適切に伝達します。これにより、ユーザーの操作履歴やドキュメント状態など、複雑な情報をモデルに正確に伝えることができます。
コンテキスト管理の流れ
- クライアントがユーザーの操作・状態をコンテキストとして送信(例:選択範囲、カーソル位置、編集中のファイル名など)
- サーバーが受信・管理し、必要に応じてコンテキストを加工・検証してモデルへリクエスト
- モデルがコンテキストをもとに応答(例:要約、コード生成、提案など)
- サーバーが応答をクライアントへ返却し、ユーザーに結果を表示
この流れにより、ユーザー体験を損なうことなく、複数モデルやサービスを横断的に活用できます。
MCPの主要コンポーネント
- モデル:AI/LLM本体。MCP仕様に準拠した入出力を持つ。例えば、入力としてコンテキスト情報とリクエスト内容を受け取り、出力として応答を返す。
- クライアント:ユーザー操作やアプリ状態をMCPサーバーへ送信。VS Code拡張やWebアプリなどが該当。
- サーバー:コンテキスト管理・モデル連携・セキュリティ担保。複数クライアントやモデル間の調整役。
プロトコル仕様(例)
MCPは主にHTTP/JSON-RPC/WebSocketなどの通信方式を利用し、データ構造はJSONで表現します。コンテキスト・リクエスト・レスポンスを明確に分離しています。これにより、やり取りの各要素が明示的に分離されており、クライアント側・モデル側での処理の責任範囲が明確になります。これにより拡張性と保守性が高まります。
{
"context": {...}, ← ユーザーの状態情報(誰が・何を・どこで)
"request": {...}, ← モデルへの指示(要約して・翻訳してなど)
"response": {...} ← モデルの出力(返答・生成結果など)
}API例:
{
"context": {
"user": "JS2IIU",
"document": "sample.md",
"selection": "2-10"
},
"request": {
"action": "summarize",
"params": {"length": "short"}
}
}この例では、ユーザー名・ドキュメント名・選択範囲などのコンテキスト情報と、要約アクションのリクエスト内容を一つのJSONで送信しています。
MCPのメリット・ユースケース
モデルの切り替え・拡張性
MCPを使うことで、複数モデルの同時利用や切り替えが容易になります。例えば、要約モデルと翻訳モデルを同じクライアントから呼び出す場合も、MCP仕様に従うだけで統一的に扱えます。新しいモデル追加も、MCP仕様に準拠した入出力を実装するだけで済みます。
[ クライアント ]
↓
[ MCPサーバー ]
├── モデルA(要約)
└── モデルB(翻訳)クライアントは MCPサーバーに一貫した形式でリクエストを送るだけで、利用するモデルの種類に応じた処理が自動的に分岐されます。これにより、アプリ側のロジックを最小限に抑えつつ、複数モデルに対応できます。
セキュリティ・プライバシー
MCPでは、コンテキスト情報のアクセス制御や暗号化が可能です。ユーザー情報や機密データを含む場合でも、サーバー側で権限管理や暗号化処理を行うことで、セキュリティを担保できます。これにより、エンタープライズ用途でも安心して利用できます。
MCPサーバーでは、以下のようなセキュリティ機構を実装できます:
- OAuth2 や JWT を用いたユーザー認証
- Open Policy Agent によるアクセス制御ポリシー
- HTTPSによる通信の暗号化
- AES/PGPなどでのコンテキスト情報の暗号化
- 操作ログの収集による監査トレース
実際の活用例
- VS Code拡張機能:AIアシスト、コード生成、リファクタリング提案など。ユーザーの操作履歴や選択範囲をコンテキストとしてモデルに渡すことで、より精度の高い提案が可能。
- WebサービスのAI連携:チャットボットやFAQ、ドキュメント検索など。ユーザーの入力履歴や閲覧履歴をコンテキストとして活用。
- エンタープライズ用途:社内文書管理、ナレッジベース、業務プロセス自動化など。複数部門・複数サービス間でのコンテキスト共有が容易。
| 活用場面 | コンテキストの例 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| VS Code拡張 | ファイル名・選択範囲・編集履歴 | 適切な補完・要約 |
| チャットボット | 入力履歴・過去の対話内容・ユーザー属性 | 文脈に沿った自然な回答 |
| FAQ自動応答 | 閲覧ページ・過去の質問履歴・セッションID | 高精度なFAQ選定 |
| 社内ナレッジ検索 | 部門・ドキュメントID・閲覧ログ | 部門最適化された検索結果 |
MCPを活用しているサービス例
| サービス名 | サービス内容 | リンク |
|---|---|---|
| VS Code Copilot MCP拡張 | エディタ操作のコンテキストをAIモデルに渡し、コード補完や提案を高度化 | GitHub |
| ModelContext Chat | 複数AIモデルを切り替え可能なチャットサービス。ユーザー履歴やドキュメントをコンテキストとして活用 | 公式サイト |
| Enterprise Knowledge Hub | 社内文書・ナレッジベースをMCP経由でAI検索・要約。部門横断の情報活用を実現 | 公式サイト |
| MCP API Gateway | 既存AI APIをMCP仕様でラップし、統一的なコンテキスト管理・セキュリティを提供 | GitHub |
| Smart FAQ MCP | WebサイトのFAQや問い合わせ履歴をMCPでAIモデルに連携し、精度の高い自動応答を実現 | 公式サイト |
MCPの実装例
サンプルコード(Python)
以下は、PythonでMCPサーバーにリクエストを送信する例です。
import requests
context = {
"user": "makoto",
"document": "sample.md",
"selection": "2-10"
}
request = {
"action": "summarize",
"params": {"length": "short"}
}
payload = {"context": context, "request": request}
response = requests.post("http://localhost:8000/mcp", json=payload)
print(response.json())このコードでは、ユーザー・ドキュメント・選択範囲などの情報を含むコンテキストと、要約アクションのリクエストをMCPサーバーに送信しています。サーバー側はこの情報を受け取り、適切なモデルに処理を委譲し、結果を返します。
MCPサーバー・クライアントのセットアップ手順
- MCPサーバーを起動(公式実装やOSSを利用)
- クライアントからHTTP/JSON-RPC等でリクエスト送信
- モデル側でMCP仕様に従った応答を返す
サーバーは複数クライアント・モデル間の調整役となり、リクエストのルーティングや認証・認可も担当します。
主要ライブラリ・ツール
- mcp-server(OSS):MCP仕様準拠のサーバー実装
- mcp-client(OSS):クライアント実装例
MCPの今後と課題
標準化動向
MCPはOSSコミュニティによる仕様策定・拡張が進んでいます。主要AIプラットフォーム(OpenAI, HuggingFace等)への対応も拡大中で、今後はより多様なモデル・サービスとの連携が期待されます。
今後の発展・課題
- より細かなコンテキスト管理(例:リアルタイム編集履歴、複数ユーザー同時編集など)
- セキュリティ強化(例:ゼロトラスト、監査ログ、暗号化方式の標準化)
- 実運用でのベストプラクティス蓄積(例:大規模組織での導入事例、運用ノウハウ)
コミュニティ・リソース
まとめ
MCPはAI/LLM連携の標準化・拡張性・セキュリティを実現する新しいプロトコルです。従来のAPI連携の課題を解決し、今後のAI活用において重要な役割を担う技術として、ぜひ注目・活用してみてください。
参考リンク
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ご意見ご感想はぜひコメント欄にお願い致します。


コメント