こんにちは、JS2IIUです。
アマチュア無線でデジタルモードのFT8を楽しむためには、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。まずは手順の全体像を把握して、どれぐらいの期間が必要かを掴んでおきましょう。以下に、それぞれのステップについて詳しく説明します。まだアマチュア無線を始めていない方向けに、無線従事者免許の取得から記載しています。アマチュア無線局をすでに開局しているOMさんで、これからFT8をやってみようか、という方にも参考になると思います。
FT8は比較的低い出力でも海外局と交信可能です。無線の世界を満喫するのに一番いい楽しみ方だと思います。ぜひこの記事を参考にして、一緒にFT8を楽しみましょう!
FT8
FT8は、アマチュア無線で活用が広がっているデジタルモードのひとつです。無線機とパソコンを繋ぎ、パソコンで受信した信号の解析と送信するデータの生成を行うものです。
自分の声を送るのではなく、パソコンから文字列を送るというアナログとデジタルが融合したような、面白い通信方式です。無理に喋らなくて良い、QSOが1分程度で完了する、海外からの弱い電波もキャッチできる、とても魅力的なデジタルモードです。
2020年のQEX誌、July/August号に寄稿された、Taylor氏、Somerville氏、Franke氏によるThe FT4 and FT8 Communication Protocolsと題する記事によると、FT8は、特に信号が弱い環境での効率的で信頼性の高い通信を目的として設計されたデジタル通信プロトコルである、ということです。QEX誌のこの記事によると、FT8には以下の特徴があるとされています。
- デジタルモード: FT8はWSJT-Xソフトウェアスイートの一部で、アマチュア無線通信用のさまざまなデジタルモードが含まれています。特に厳しい条件下での通信機能を強化するために導入されました 。
- 変調技術: FT8は8トーンの連続位相周波数シフトキーイング (CPFSK) 変調方式を採用しています。トランスミッションの各トーンは 3 ビットの情報を伝送するため、効率的なデータエンコーディングが可能になります。このプロトコルは、174 個のコードワードビットのシーケンスを 58 個のチャネルシンボルにマッピングし、隣接するトーンが 1 ビットだけ異なるようにしてデコード性能を向上させます 。
- メッセージ構造: FT8 送信では、常に正確に 77 ビットのユーザー情報が伝送されます。これには、コールサインや信号レポートなどの重要な情報を効率的に伝達できる構造化されたメッセージ形式が含まれます。この設計は、基本的な局間接点での 77 ビット・ペイロードの有用性を最大限に引き出すことを目的としています 。
- 性能特性: FT8は弱信号性能に最適化されており、前世代のJT65よりも感度が約3 dB向上しています。特にHF、VHF、低UHF帯に効果があり、送受信に通常15秒しかかからない迅速な双方向接触が可能になります 。
- エラー訂正: このプロトコルには、設計に不可欠な強力な前方誤り訂正 (FEC) 技術が組み込まれています。これにより、ノイズの多い環境でも信頼性の高い通信が可能になります 。
- FT4との比較: FT8はFT4とよく比較されます。FT4は高速ですが感度がいくらか犠牲になるもう1つのデジタルモードです。FT8は速度と信頼性のバランスが取れているため、アマチュア無線愛好家の間で人気があります。
このようにちょっと難しくて、魅力的なFT8を始めるための手順を紹介していきます。FT8楽しんでいきましょう。
無線従事者免許の取得
アマチュア無線を始めるには、まず無線従事者免許を取得する必要があります。4級アマチュア無線技士(4アマ)が入門に適しています。この免許は、全国各地で実施されている試験に合格することで取得できます。さらに上級の資格を取ることで、追加のバンドで交信できたり、送信出力を上げることが可能になります。
手順:
- 勉強: 試験に向けた勉強をします。参考書やオンラインの学習サイトを活用しましょう。
- 試験申し込み: 日本無線協会のウェブサイトから試験に申し込みます。
- 試験受験: 指定された日時と場所で試験を受けます。
- 合格通知と免許申請: 試験に合格したら、免許の申請を行います。
参考サイト:
無線機の入手
免許を取得したら、次に無線機を入手します。FT8を運用するためには、SSBという電波の変調方式に対応した無線機が必要です。ICOM、Yaesu、Kenwoodなどのメーカーから「オールモード機」と表記されているものを選ぶと良いでしょう。対応モデルについてはこちらの記事にまとめましたのでご覧ください。
手順:
- リサーチ: 自分の予算と目的に合った無線機を選びます。インターネットや無線ショップで情報収集を行います。
- 購入: 無線機を購入します。新しいものでも中古でも構いません。
参考サイト:
無線局免許の取得
無線機を使うためには、無線局免許も必要です。この免許は総務省から発行されます。この時、待望のコールサインが付与されます。Xに投稿すると、たくさんいいねがもらえます。免許状の写真も添えると、少なくとも100いいねは超えると思います。
FT8のために無線機に接続するPCはアマチュア局特定附属装置の扱いとなり、無線局事項書及び工事設計書への記載は不要です。開局のための申請の場合も、開局済みで変更となる場合も、アマチュア局特定附属装置を含めた手続き、検査等は不要です。詳細については総務省電波利用ホームページのアマチュア局特定附属装置のページをご覧ください。
手順:
- 申請書の記入: 総務省 電波利用電子申請・届出システムLiteのウェブサイトから無線局免許申請書を行います。全てオンラインで完結します。この時、使用する無線機の情報が必要です。
- 申請書の提出: オンラインで提出します。申請には手数料がかかります。手数料は、ATMまたはインターネットバンキングで支払い可能です。
- 免許の受け取り: 審査を経て、免許が発行されます。受け取り方法は、①返信用封筒を送る、②窓口で受け取る、③着払いで送ってもらう、の3通りです。
参考サイト:
FT8ソフトウェアのセットアップ
FT8は、WSJT-XやJTDXというソフトウェアを使用して運用します。これらのソフトウェアは無料でダウンロードできます。
(2024年11月追記)
IC-7300とJTDXで環境設定する時のJTDX設定について新しく記事を書きましたのでそちらを参照して下さい。
手順:
- ダウンロード: WSJT-X、JTDXの公式サイトからFT8ソフトウェアをダウンロードします。
- インストール: ダウンロードしたソフトウェアをPCにインストールします。
- 設定: 無線機とPCを接続し、ソフトウェアの設定を行います。CAT制御やオーディオインターフェースの設定が必要です。ググると設定解説がたくさん出てきます。自分と同じ無線機での設定例も簡単に見つかると思います。情報間違い、情報が古い、ということがあるので要注意です。
参考サイト:
実際の交信開始
全ての準備が整ったら、いよいよ実際の交信を開始します。FT8は非常に効率的なモードで、低出力でも世界中と交信が可能です。
最初はソフトウェアの使い方がわからないと思います。YouTubeで解説動画がいくつかアップされていますので、参照してください。(本当に見たいところが映ってない・・・みたいな場合もあります・・・)
手順:
- 周波数の選択: FT8専用の周波数に合わせます。一般的には7.074 MHzや14.074 MHzが使われます。それ以外の周波数についてはこちらの記事「FT8周波数 一覧表(2023年改正対応)」を参考にしてください。
- CQを出す: ソフトウェアを使って「CQ」を出します。これで他の局があなたと交信しようと応答してきます。
- ログを取る: 交信内容をログに記録します。
オプショナルの手順
ログソフトウェアのセットアップ: 交信ログを管理するためのソフトウェアをインストールします。代表的なものにはHamlogなどがあります。HamlogはFT8のソフトウェアと連携して自動でログを記録することができます。
eQSLのセットアップ: デジタルQSLカードを交換するためのサービスです。公式サイトからアカウントを作成し、設定を行います。
LoTWのセットアップ: ARRLが提供するQSLカードのデジタル認証サービスです。公式サイトからアカウントを作成し、証明書を取得します。
参考サイト:
さらに便利なユーティリティソフトウェア、Webサービスがたくさんあります。Webサービスについてはこちらの記事を参照してください。
最後に
FT8を始めるまでにはいくつかのステップを踏む必要がありますが、一度セットアップが完了すれば、非常に楽しめるアマチュア無線のモードです。是非挑戦してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。73

